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奈良市長選 腹をくくるしかない

2017年05月19日

主筆 藤山純一

 「生駒市長時代の経験をすべて、奈良市に注ぐ決意をした」―。7月2日告示の奈良市長選にこう語って出馬表明した前生駒市長の山下真氏。「奈良市に家庭をもち、10年が経った」「私にとっては、ついのすみかとなった。いま、守りたい未来が、この奈良市にある」ともいう。
 山下氏は平成18年2月の生駒市長選で初当選し、任期途中の27年4月の知事選に出馬するまで3期約9年、生駒市長を務めた。その山下氏は今回、生駒市長時代の経験をすべて奈良市に注ぐという。やはり奈良市に住んで生駒市長は「通い市長」だったのかと、この会見内容を聞いてつくづく思った。
 はっきり言って、山下氏に生駒市長時代の経験をすべて奈良市に注いでもらっては困る。なぜなら本紙でこれまで何度も指摘した通り山下生駒市政は「混乱と混迷の時代」と言わざるを得なかったからだ。
 初当選した18年、県と生駒市、UR都市機構が進めていた関西文化学術研究都市の高山第2工区開発計画を「白紙撤回」、ニュータウン事業が頓挫してしまった。その後も県がイニシアチブをとってさまざまな代替案について協議するも成らず、地域の荒廃を余儀なくさせたのだ。27年4月に山下氏の知事選出馬(敗戦)に伴い、副市長だった小紫雅史氏が市長に初当選してから、市が用地取得するなどようやく高山第2工区開発が動き出した。まさに「失われた9年」だった。
 また、山下氏がこだわり続けた市立病院建設をめぐっては混迷を極め、結局、開設したもののいまだ赤字解消の見通しは立たず、市民に将来、負の遺産を押し付けかねない状況となっている。
 もともと17年に閉院した生駒総合病院の後継医療機関として山下氏が選挙公約として提唱。市医師会の反発や財政問題で市民に不安が広がるにもかかわらず強引に開設を急ぎ、「徳洲会による病院は生駒は要らない!」という市民の声を無視し、当時問題になっていた医療法人徳洲会グループに病院の運営管理を任せたのだ。
 開院して6月で丸2年。外来、入院患者数の目標は達成できず、苦しい経営状況が続いている。5年後、10年後に市民に莫大(ばくだい)な付けが回らないとの保証はない。同市北大和の「北大和野球場・グラウンド」の閉鎖騒動もその一つだ。近隣住民の移転要望を受けて市北端で不便な場所(市高山町)に代替施設をオープンしたものの、同グラウンドの売却のめどが立たず、再開する始末。
 奈良市長選では、さらに現職の仲川元庸市長も出馬表明したが、「新斎苑」をアピールするも地元の猛反発もあるなど課題山積。民進党県連代表の馬淵澄夫衆院議員は今後、自民党が候補を擁立した場合、仲川、山下両氏の候補一本化も示唆しているという。
 その自民党県連がどうしてもいただけない。告示まであと44日。公明党県本部も自民党がまとまれば支援する意向で、自民県連の荻田義雄奈良市支部長、小林茂樹県第1選挙区支部長が腹をくくる以外にないのではないか。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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