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[2017年06月09日]

 競技である以上、必ず勝者と敗者に分かれる。勝者が喜びを派手に表現するほど、敗者の気分はなえ、フラストレーションはマグマのようにたまる。ちょっとしたきっかけで爆発するかもしれない▼全仏オープンテニスでは錦織圭が試合中に爆発しラケットを破壊し非難された。サッカーでは前代未聞の暴力事件も起こった。心の乱れは誰にでもある。そこで平常心を保つのがプロではないか。感情をコントロールできない未熟な精神では、試合場に立つ資格がない、とも思う▼同じ競技でも日本伝統文化の将棋は、負けた方が頭を下げるという、世界で類をみない特殊なルールがある。永世棋聖の故米長邦雄は、全精力を傾けた対局をミスで負けた後でも、「勝者を称えるのも勝負師の務め」と、敗者の役割を説いた。それなら勝者の務めも聞きたかった▼先日、名人位を防衛した佐藤天彦がうれしくなさそうだったので話題になった。佐藤は、プロの世界にあっては生活がかかっているのだから、負けることは死に値するようなものと考えている節がある▼ある意味、プロは相手を倒すことによって自分が幸福を手にする。その行為に罪悪感を持つ人もいる。そう考える佐藤が名人位を防衛した意味は大きい。米長の答えと受け取りたい▼そこに日本人の精神性と共に、橿原市文化協会の戸田守亮先生が言うところの「情緒美」がある。世界が倣ってほしい。       (茂)

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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