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奈良市新斎苑 対話なき行政に未来なし

2017年06月16日

記者 梶田智規

 右を向いている人間を説得して左を向かせるには時間と労力を要する。しかしその「対話」というプロセスを踏まずに無視したり、権力を行使して強引に左を向かせるのは非常に危険な行為だ。
 「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織的犯罪処罰法が15日の朝、参院本会議で自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。与党は通常の委員会採決を省く「中間報告」という手法を用い、野党に追求の場を与えず強行採決。無論野党からは「とんでもない暴挙」、「審議を一方的に打ち切り、採決するのは異常」と批判が続出した。
 国会周辺では法案に反対する国民が集まり猛抗議したが声は届かず。民進党をはじめとした野党の爐討い燭蕕瓩砲茲蠕犬泙譴拭岼打棕蔚時代」だが、「対話」というプロセスを踏まずに政治を進めていては、やがて国や組織を崩壊へ導くということは長い歴史が物語っている。
 プロ野球など団体競技のスポーツでも「対話」なきチームは衰退する。ちょうど1週間前の夜、巨人が日本ハムに勝利し、球団ワースト記録の連敗をようやく「13」で止めた。巨人は昨年オフに総額26億円ともいわれる巨額を投じてFAで選手を補強。しかしチームはまったく機能せず、多くの評論家が「哲学なき補強による若手育成の放棄」、「首脳陣の考えがフロント、選手に伝わっていない」などチーム弱体の理由を挙げ批判した。フロント、首脳陣、選手間でしっかりと「対話」が行われていれば、球団の歴史に泥を塗るような大連敗を喫することはなかっただろう。
 仲川元庸奈良市長が「職責」を懸けて取り組んでいる新斎苑整備事業は、「地元合意」が得られぬまま関連予算が委員会、本会議ともに僅差の賛成多数で可決された。委員会で改革新政会の松村和夫委員が「(合併特例債の)期限に間に合わなければ市民に負担がかかる。いまだに反対されている議員や住民の方には、新斎苑の早期建設を願う36万市民のために理解をお願いしたい」と発言すると、傍聴席の反対住民から、「われわれも市民。その声は無視か」などの怒りの声が飛び、会場は一時騒然とした。
 無論この場で声を上げるのはマナー違反だが、松村委員の新斎苑建設による地元住民にかかる負担を無視するような発言は配慮が足りないと感じた。加えて、「地元合意」を事業推進の条件に掲げながら、昨年12月議会で一転して賛成に転じた共産党市議団は、この声を聞いても、地元合意が得られたと本心から思っているのか疑問でならない。計画地から離れた場所で暮らす36万市民の願いのために、一部の市民は犠牲になってもよいという道理はない。
 議会閉会後、仲川市長は「新斎苑には長い時間を費やした。これで前に進める」と話したが、反対住民との「対話」に費やした時間は少ない。事業は前に進んでも、反対住民は置き去りのままだ。これからも「対話」のない行政が続くようでは、奈良市の未来はない。

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