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奈良市長選 政策執行の責任を問う

2017年06月30日

主筆 藤山純一

 県都・奈良市の行く末を決める奈良市長選がいよいよ明後日、告示される。中核市として36万市民の生活環境をいかに守り高めていけるか、人口減少に歯止めをかけ、いかに活気あるまちづくりができるか、豊富な埋蔵文化財に恵まれた国際観光文化都市として、いかに国内、世界にアピールできるか、課題山積の奈良市である。
 その重責を担う奈良市長に誰がふさわしいか、県都であるだけに市はもちろん県内39市町村をリードできる手腕の持ち主がふさわしいのではないか。たとえば宿泊観光客が極めて少ない現状を打破するにも、他市町村との連携は欠かせない。
 もちろん県との連動も言うまでもないが、奈良市を訪れた観光客を中南和地域に誘導する行政のチームプレーが宿泊観光客を増やすには必須である。そのための核となるのが奈良市で、市長は市だけでなく県下全域に視野を広げて観光戦略が練れる人材が求められているといえるのではないか。
 ところが近年、こういった連携に水を差してきたのが、奈良市と生駒市である。典型的な例が県広域消防組合の設立における経緯だ。県民、市民の命にかかわる消防、救急活動について県下市町村がバラバラで取り組むより市町村の境界を越えて非常事態に一刻も早く対処できるようにしようと、平成20年に県の主導で広域化に向け検討する協議会を設立。
 協議を進めたが、26年4月、奈良と生駒の両市が「広域化のメリットがない」と判断し単独での道を選び、結局、37市町村で県広域消防組合を設立した。東日本大震災を経験し、地震大国の日本で今や県域を越えた協働も求められている中、単独の道を選んだ両市はいったい何を考えているのか、災害や救急には市町村の境界などはない。あるのは県民、市民の命をいかに守るか、救うかである。
 この時に単独の道を判断したのが、今回奈良市長選に出馬する予定の現職の仲川元庸氏と当時の生駒市長だった山下真氏だ。果たしてその時の判断は正しかったのか、今後も連携に消極的な政治手法を貫くのか、しっかりと説明を聞きたいものである。
 2期8年の市長としての実績を強調する仲川氏だが、たとえば多額の血税を投入し改修したならまちセンター(奈良市東寺林町)は今どうなっているのか。ならまちの拠点としてにぎわっているのか、どうも疑問でならない。
 一方、山下氏も「生駒市長時代の実績を奈良市政に生かしたい」とおっしゃっているが、今月23日付本紙で検証した「赤字続く生駒市立病院」の二の舞はいただけない。また、「白紙撤回」した関西文化学術研究都市の高山第2工区開発計画は、その後頓挫し、地域の荒廃を招いた現実がある。
 このほか奈良市長選には、共に新人の自民党推薦の朝廣佳子氏と共産党公認の井上良子氏が出馬する予定だが、説明責任をしっかり果たしてこそ政治家である。耳触りのいいことばかりを強調するのではなく、実施した政策には最後まで責任を持ってもらいたいものである。

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