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コミュニティナース 過疎地域救う起爆剤に

2017年07月28日

論説委員 黒田高弘

 「丁寧に説明する努力を積み重ねたい」と述べ閉会中審査に臨んだ安倍晋三首相だったが、学校法人加計学園の獣医学部新設を巡る問題について、どれだけの国民が納得しただろうか。支持率回復の兆しもなく、牾き直り解散疉が吹くようにまでなってきた。
 政権復帰を果たした平成24年12月以降、安倍一強時代が約4年半にわたり続いてきたが、国有地払い下げにに端を発した学校法人森友学園を巡る疑惑を皮切りに、南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)の日報問題、加計学園と、安倍首相夫人いわくの安倍政権の牋だくみ瓩相次ぎ発覚。先の都議選では、おごる自民に都民は「NO」を突きつけ、歴史的大敗に終わった。
 その安倍首相が26年9月の第2次安倍改造内閣発足時に発表した「地方創生」。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的としたものだが、まもなく丸3年がたとうとする中、その成果を国は、地方はどう判断するか。ちなみに、加計問題で話題に上がる「国家戦略特区」も地方創生の取り組みの一環だ。
 国は今年1月、全国88カ所の地方創生事例を紹介し、成果を強調する。その中には、明日香村が地域経済循環創造事業交付金を活用し事業化した、クラウドファンディングによる古民家を活用した宿泊施設の整備も含まれており、各地域の努力を否定するものではないが、その多くがハード事業。「人」に目を向けた事業とは言い難い。
 にぎわいづくりや大々的なイベントを実施することで、交流人口は増えるだろうが、地方創生の一丁目一番地である「地方の人口減少に歯止め」につながるのか疑問でならない。
 今号で取り上げた「コミュニティナース・プロジェクト」は、1つのプロジェクトの中に、医療不足の解消、若者の移住定住促進、潜在看護師の復職支援、地域おこしとさまざまな課題解決策が盛り込まれており、少子高齢化が進む過疎地域を救う起爆剤となる可能性を秘めている。同プロジェクトのきっかけとなった島根県雲南市の「在宅医療の拡充・社会保障費の削減に向けた訪問看護のビジネスモデル化」は、地方創生総合戦略に基づく地域医療分野としては全国初の取り組みとして注目を集めたことからも、今後いかに「人づくり」に目を向けて行けるかが重要になってくる。
 22日に山添村東山公民館(同村桐山)で開かれたインターンシップ研修「むらの保健室」には関西を中心に全国から20〜30歳代の看護師約20人が参加。県第1号コミュニティナースの荏原優子さんを筆頭に、看護師らは皆、笑顔を絶やすことなく明るく、かつ狠寧に説明する努力を積み重ね瓩覆ら地域住民と接し、地域住民も「信頼」の笑みを送っていた。そこには確かな「つながり」があった。
 地方創生に必要な「人づくり」と「つながり」。だが決して、つながりある爐友達瓩世韻僕ザし、人づくりのための学部を新設するものではないということを安倍首相は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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