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巧妙化する特殊詐欺 あなたは狙われている

2017年08月04日

主筆 藤山純一

 警察官はもちろん、検事、弁護士、金融庁職員、財務局、消費生活センター、証券取引等監視委員会、会社の株式公開準備室、健康食品業者、建設会社、不動産会社、金融機関、市役所や区役所、年金事務所、大手旅行代理店、貴金属協会、アダルトサイト、揚げ句の果ては大手新聞記者やテレビ局まで、よくここまで考えたというほど多彩な登場人物に感心してしまうのは筆者だけではないだろう。
 もちろん、特殊詐欺事件の登場人物である。これほど注意を呼び掛けているにもかかわらず、いまだ増え続けている。いろんなことを想定し、あの手この手で「私だけは大丈夫」と思っている高齢者をだまし、お金をむしり取っていく。気づいたらごっそりお金を取られていたというわけだ。
 いろんなケースをみても、まさか引っかかるわけないだろうという事件が多発している。人間心理の隙を突き、極めて巧妙にその気にさせ、劇中人物に仕立て上げる。その技は失礼ながら感嘆に値する。われわれ素人は決して油断してはならない。あなたは狙われている。詐欺師はすぐそばまで来ているのだ。
 政府広報によると、最新の手口で「オリンピック詐欺」というのがあるらしい。東京オリンピックを控え、某貴金属協会から「先着100人に東京オリンピック記念金貨プレゼント」と書かれたパンフレットが送られてきたり、大手新聞記者を名乗る者から投資を勧められたり、大手旅行業者をかたって「東京オリンピック開会式の特別席専用予約販売」の勧誘などだ。
 オリンピックが近づくにつれこの種の詐欺は増えていくものと思われ、決してだまされてはならない。このほか、「会社のカバンを落としてしまった」と言い、「今日中に支払わなければならない小切手が入っている。大変なことになる」と自宅を訪れた息子の同僚と名乗る男にお金を手渡してしまう「落し物詐欺」など。
 また、「あなたは、老人ホームに入居する権利が当たった」と言い、「入居しないなら権利を譲ってほしい」と持ちかけ、「名義貸しは違法」と脅してお金を宅配便で送らせる「現金送付型詐欺」。
 さらには「医療費の払い戻しは期限は今日まで」と言い、自宅近くのATMに誘い出し電話で言われるままに捜査して現金を犯人の口座に振り込んでしまう「還付金詐欺」まで、多種多様な手口が横行している。
 こんな信じられない手口で昨年1年間、全国で約400億円、県内で約5億4000万円の大金が奪い去られた。オレオレ詐欺が減少している一方、医療費や保険料などのお金が戻ってくるなど偽って被害者にATMを操作させ現金をだまし取る手口が増加しているという。
 65歳以上が被害者の8割近くを占め、特に70歳以上の女性が全体の5割を超えている。高齢化はますます進む中、犯罪者はさらなる新手を次々と編み出してくるだろう。現代社会の矛盾を突いてくる巧妙な犯罪に立ち向かうには、懐かしき時代に存在していた、「家族」、「地域」、「社会」の連帯感を取り戻す以外にないのではないか。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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