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衆院選 台風にかき消された猊

2017年10月27日

論説委員 黒田高弘

 第48回衆院選は、公示前には「政権選択選挙」と注目を集めたが、終わってみれば自公政権の圧勝。自民は284議席を獲得し、単独過半数を大きく上回り、公明の29議席と合わせ、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の310議席を上回る勢力を保持した。
 一方、野党は立憲民主が15議席から55議席と躍進、野党第1党に躍り出た。注目を集めた希望は50議席に留まり、共産、維新、社民の既存政党は軒並み議席を減らし、結果的には野党で猊爾亮茲蟾腓き瓩鬚靴燭鵬瓩ず、「政権選択選挙」などどこ吹く風で幕を閉じた。
 折しも投票日の22日は、超大型の台風21号が全国的に猛威を振るい、県内でも、三郷町で大和川が氾濫、五條市では山から押し出された土砂で住宅が押し流されるなど、各地で爪痕を残し、県内有権者の投票行動に大きな影響を与えた。
 その結果、投票率は戦後最低の数字をたたき出した前回選(平成26年12月)の55・60%をわずか0・08ポイント上回る55・68%。民主党が政権交代を実現した21年8月の衆院選の71・50%にはほど遠い投票率に。詰まるところ、台風が政権選択という名の猊瓩鬚き消した。
 トヨタ中興の祖といわれる故石田退三氏は「人間マジメに務めてさえおれば必ず『神風』が吹く」という言葉を遺したが、今回「神風」を吹かせたのは立憲民主のみ。民進の出身候補者に対する希望の小池代表の「排除」発言により立ちあがった同党が、改革保守を標ぼうする希望よりも反自公政権の急先鋒として認められた結果であり、枝野幸男代表のまじめなイメージも風を吹かせる要因の一つになったと考えられる。
 かくして、希望の党結成を契機に野党の構図が激変する中、安倍晋三首相いわくの「国難突破解散」により実施された今回の選挙は、一定の決着をみた。
今後は立憲民主を中心に、参院民進党、無所属議員らが政権批判の受け皿として結集を模索していくことになり、共産との選挙協力の復活なども話し合われていくことになる。
 一方、希望は26日、小池代表が選挙の惨敗をめぐり陳謝しながらも、続投を表明。小池氏の側近で落選した若狭勝前衆院議員は、今回の結果について「(小池代表と)認識のずれがあった」とした。若狭氏の脳裏には、まずは地盤固めが必要で、政権交代については「次の次」という思いがあった。だが小池氏は一気に攻勢に打って出た。このずれが選挙中盤からの失速につながっていった。希望にとっては今後、地盤強化が最重要課題となってくる。猊頼み瓩世韻任篭固な地盤を持つ自公政権を再び下野させることなど一筋縄ではいかないだろう。
 一方、政権与党の自公もこの結果を真摯(しんし)に受け止めなければならない。数字的には圧勝とはいえ、それはあくまでも野党勢力の乱立に助けられた結果に過ぎない。県内有権者の比例における政党別獲得票数では自公よりも野党の得票が上回っている。数字には表れない有権者の声にしっかりと耳を傾けなければ、また新たな猊瓩吹き荒れるかもしれない。

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