論点

トップ論点一覧 > 論点

認定こども園建設 町の財産を見紛(みまが)うな

2017年11月03日

編集委員 藤田 茂

 認定こども園の建設を巡って河合町が割れている。10月30日に閉会した臨時町議会では、認定こども園の建設費約12億円を削除した一般会計補正予算案が可決された一方、町民から出された早期の開園を求める請願書が可決されたことから、一応開園に向けての方向性は示された。しかし、建設反対派は攻勢を強めており、3月議会から続く賛成派と反対派の攻防はさらに続く見通しだ。
 河合町の場合、運営する保育所は老朽化が目立ち耐震化ができていない。幼稚園も園庭が狭いなど問題がある。認定こども園は、幼保一元化の流れとともに、働き方改革、女性活躍推進、さまざまなライフスタイルに対応するといった面からも必要なものといえる。子どもは町の宝であり、大きな財産。そこに投資するのは当然のことだ。
 また、町を支えてきた西大和ニュータウンは少子高齢化のあおりで空き家が目立つようになり、町の活力を生む子育て世代をつなぎとめ呼び込むための園建設は、轍鮒(てっぷ)の急ともいえるだろう。
 建設予定地は、近鉄池部駅の至近にあり、第二の奈良公園として整備されてきた馬見丘陵公園にも隣接し、「四季の花々や新鮮な空気など、河合町の独自色を打ち出せる絶好のロケーション」と町は胸を張る。
 そのような経緯から提案された園建設計画である。もちろん反対論もあったが、昨年3月の臨時議会において4300万円の設計予算も可決されている。議会は建設を承認したとみるのが妥当だ。しかし設計の入札が終わった昨年の10月頃から反対論が台頭し、いま過熱している。「なぜ今ごろ?」とこども園の完成を待ち望んでいるお母さんたちは戸惑う。
 反対派は町の経常収支比率の悪化を問題視している。建設費約12億円のうち半分を国の支援制度を活用するものの約6億円を町が負担することになる。「財政が厳しい状況であり、議論も不十分、建設場所も含め立ち止まって考えるべき」と譲らない。
 現在、町議13人のうち反対派は6人。賛成派は7人だが、1人は病欠中である。勢力は6対6と拮抗(きっこう)しているが、反対派の議長は採決に加われない。採決になると原案が可決され建設計画が進む可能性が高い。そんなこともあってか、今年9月6日の議会運営委員会では6人の委員のうち反対派の3人が当日病欠した。このため9月議会は流会という事態に発展した。また、10月30日の臨時議会においては反対派の議長が討論を始め、規則により賛成派の副議長が議長席に着くという事態に両派のつばぜり合いが激化、何度も紛糾した。最終的に庁舎の耐震化などを急ぐ必要があり、とりあえずの決着をみたが、火種はくすぶり続けている。
 この問題が長期化するほど迷惑を被るのは住民である。とりわけ小さな子どもがいるお母さんたちは開園を見込んで備品などを買いそろえているという。もう一度言う。子どもは町の宝であり、子育て世代は町の財産である。そこへの投資を否定し、町から子どもがいなくなっては元も子もない。座して滅ぶ、を待つようなものだ。

  • 奈良日日新聞社は「Sport for Tomorrow コンソーシアム」の会員です。
  • LINE@で情報発信中!!
  • 奈良日日新聞はチーム準オフィシャルメディアです
  • 凛と咲く〜輝く女性たち
  • 広告のご案内
  • 購読・購入のお申込み
  • 会社情報


ホームニュース紙面内容紹介論点悠言録

購読のお申し込みバックナンバー購入のご案内広告のご案内会社情報個人情報保護

当サイトに掲載の記事・写真・図版などの無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権並びに国際条約により保護されています。

Copyright Nara Nichinichi Newspaper