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政務活動費 李下に冠を正さず

2017年11月24日

論説委員 黒田高弘

 来週は早くも12月1日、今年もいよいよ残すところ1カ月となった。この時期の風物詩となっているのが「新語・流行語大賞」。今年も「忖度(そんたく)」や「働き方改革」など30語がノミネートされており、1日にトップテン並びに年間大賞が発表される。
 ちなみに、昨年の年間大賞を覚えているだろうか。プロ野球・広島カープの緒方孝市監督が、2試合連続サヨナラ本塁打を記録した鈴木誠也選手の活躍をたたえた言葉「神ってる」。一年がたつのは早いもので、忘れていた人も多いのではないか。
 その一方で、あれから3年がたつにもかかわらず、いまだ強い印象を残しているのが犢羌禪議瓩箸靴動賁時の人となった兵庫県議会の元県議・野々村竜太郎被告だ。
 県議時代に出張費名目などでうその収支報告書を提出し、政務活動費約913万円をだまし取ったとして、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われ、懲役3年、執行猶予4年の判決が言い渡された。23〜25年度に、実際には行っていないにもかかわらず、城崎温泉(兵庫県)などへの計344回の「日帰り出張」を申請するなどしていたことが明らかになった。
 この犢羌祺餮瓩ら大きくクローズアップされるようになった政務活動費。その後、議会に対する監視の目が厳しくなり、一部の議員による悪質な事案があぶり出された。だが、これらはあくまでも一部の議員であって、すべての議員が身勝手な請求をしているわけではない。
 そもそも、政務活動費は議員の調査活動基盤の充実強化を図る観点から、条例の定めるところにより、議員の調査研究その他の活動に資するために必要な経費の一部として、国が認めているもの。加えて、議員は行政の無駄に切り込み、社会問題を解決していく立場にあり、その調査のため政務活動費を使うことが認められているのだ。
 にもかかわらず、一部の悪質な議員により、政務活動費全廃議論につながり、ひいては不正がまん延する行政になってしまっては本末転倒である。東京都議会の音喜多駿議員はこう言う。「議員は有権者の代表であり、本来は『敵』ではなく『味方』。議員を敵とみなして武器(政務活動費)を取り上げることは、味方を弱体化することにほかならない」と。
 四面楚歌の状況では戦えない。議員という職責から逃れようとする人も増える可能性もある。ある市議会では「なり手不足」が深刻化。それらの対策として議員報酬の増額や政務活動費を新たに設けようという動きもある。
 だからといって自由きままに政務活動費を使用していいということにはならない。各議会で定めた厳しいルールにのっとることはもちろんのこと、開かれた政務活動費として、県民有権者に対して情報公開していくことが求められる。
 政務活動費に対するバイアスがかけられた今こそ、議員は李下に冠を正さずで、自浄能力を発揮し、県民有権者の負託に真摯(しんし)に応えていく。その上で、正々堂々と政務活動費の必要性を訴えるべきである。

  • 教職40年 浅田芳正氏の教育奮闘記「教育は教えないこと!〜考える力を育てる〜」 好評のうちに連載終了 平成28年3月18日刊行
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