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歴史遺産の宝庫・奈良 JR環状線の実現を

2018年02月02日

主筆 藤山純一

 ある朝、トワイライトエクスプレス「青垣」がJR奈良駅をゆっくりと走り出した。万葉まほろば線を走る車体は青々とした周囲の山々に溶け込んでいる「青垣色」。春の日差しに輝いて大和路を走る。
 まさにこれから日本の発祥の地、いや、あらゆる物の発祥の地である古都奈良を十二分に味わえる旅が始まるのだ。いにしえ人に出会える喜びに乗客はワクワクしている。どんな古代のロマンが味わえるのか、そんな思いを乗せて「青垣」は走る。
 戦後物流の拠点としてにぎわい、レトロな駅舎がよみがえった京終駅を通過し、帯解駅へ。平安前期、文徳天皇の皇后藤原明子がお子様に恵まれないことから祈願し無事懐妊、青和天皇を安産されたと伝わる帯解寺。
 櫟本駅から天理駅に。駅前広場「コフフン」で天理大学雅楽部の演奏に聞き入り悠久の歴史を実感した後、日本最古の神社の一つである石上神宮の神さびた自然の姿に触れ、これも日本最古の道、山の辺の道を歩く。24基の大和古墳群を見渡し県内の歴史文化資源を最大限に活用した県国際芸術家村へ。
 長柄駅から柳本駅では、「卑弥呼の鏡」といわれる三角縁神獣鏡が33枚も出土した黒塚古墳、巻向駅では邪馬台国の発祥の地と目される纏向遺跡を訪ねた後、三輪駅に。三輪山をご神体と仰ぐ大神神社のにぎわう参道を歩き、直会殿・能楽堂で神代の舞を観賞し幽玄の世界に浸る。
 桜井駅では、悠大な歴史文化が色濃く残された桜井の地に建つ「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」で美しい田園風景に沈みゆく夕日を眺めながら奈良の伝統食材を使ったフランス料理を堪能、穏やかな時の流れに身を任せ悠久の時間を過ごす。
 香久山駅、畝傍駅では万葉集に歌われた香久山、畝傍山、耳成山の大和三山を眺め、それらに囲まれた、日本初の本格的な都城、藤原京を訪ね、遣唐使に思いをはせる。日本建国の地と称される橿原神宮や神武天皇陵も『日本書紀』の世界をほうふつとさせる。
 第27代安閑天皇の都「勾金橋宮」にその名を由来する金橋駅から高田駅に。白鳳・天平様式の大伽藍(がらん)を有する古刹・當麻寺。五位堂、香芝、志都美、畠田駅を過ぎると王寺駅に。改札を出ると聖徳太子の愛犬、雪丸(ゆるキャラ)がお出迎え、雪丸のドローンも飛び、聖徳太子ご遠忌1400年もあって歓迎ムード満点。
 達磨大師とともに建立された達磨寺には聖徳太子像や雪丸像も。信貴山朝護孫子寺も太子ゆかりの虎の寺。法隆寺駅ではまさに太子建立の法隆寺。世界遺産ともなり、飛鳥時代の姿を現在に伝える世界最古の木造建築が重厚な趣を醸し出している。
 大和小泉駅から郡山駅へ。レトロな街並みを歩くとあちこちに金魚が登場。電話ボックスならぬ「金魚ボックス」も。雄大な郡山城天守台からの眺めは絶景。古代から中世、近世へと「まるごと奈良」を体感して終点、奈良駅に到着した。
 歴史遺産の宝庫を巡る「JR奈良環状線」の夢の旅はいかがでしたか。「幻の大仏鉄道」が「奈良環状線」としてよみがえることを強く望みたい。

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