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[2018年03月02日]

 「断らない医療体制が整ってきた」。先月24日、県立医科大学附属病院に整備されたヘリポート竣工(しゅんこう)式典での荒井正吾知事の言葉。背景には、平成18年に大淀町立病院で出産中だった女性が脳出血を起こし、19病院に搬送を断られて死亡した事件がある▼3年ほど前、妻が夜中に足を滑らして転倒。右肩を押さえて痛がり、「救急車呼んで」と訴えるので、「こけたぐらいで大げさやな」と言いながらも救急車を呼び、一緒に乗り込んだ。しかし診察してくれる病院がなかなか見つからずに待たされ、いら立った覚えがある▼患者やその家族からすれば、怒りの矛先は受け入れを拒否する病院に向かうが、病院側からすれば医師や病床の数が足りず、苦渋の決断を迫られる▼日本全体の医師数は毎年増えているが、都市部での勤務希望は多く、地方との格差は顕著。26年に厚労省が実施した「都道府県別人口10万対医師数」調査で、県は225・7人で27位。全国平均233・6人を下回った▼ヘリポートの完成により、10分以上の搬送時間短縮が見込める。このわずかな時間が救命率の向上や後遺症軽減につながり、そういった医療体制の充実が医師や医学生らのモチベーションを高め、県外への流出を防ぐ▼余談だが、医師の診断の結果、妻の右肩は骨折していたことが判明。今でもけんかになると、あの日の心ない言葉を責められ、何も言えなくなる。(梶)

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