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孤独死 人生の幕の下ろし方

2018年03月09日

記者 梶田智規

 人間は最後に赤ちゃんに戻る―。年齢を重ねると身体能力が低下し、認知症など記憶力や判断力が鈍くなることから、こういった表現が使われる。その狎屬舛磴鶚瓩自宅で一人、誰にもみとられることなくこの世を去る。さらには3日、1週間と発見されず直視できない姿に。そんな人生の最期はあまりに悲しい。
 2040年には一人暮らし世帯の割合が39・3%に達するという推計を今年1月、国立社会保障・人口問題研究所が公表した。主な原因は未婚や晩婚の人が増えているためで、高齢者の一人暮らしの割合は22・9%になると予測されている。2040年は昭和40年代後半生まれの「団塊ジュニア」が高齢者となり、高齢者人口がピークに。特に県は平成27年の時点で高齢者の一人暮らしの割合がすでに23・9%。高齢化率も29・5%で全国平均27・3%を上回っており、出生率も低く、少子高齢化が顕著な地域といえる。
 一人暮らしの高齢者増加に伴い、年々増加しているのが孤独死。2040年には、年間20万人以上の孤独死が発生するともいわれている。この問題は日本だけではなく、韓国や長寿国として知られるイタリアなどでも深刻化しており、かつては喜ばれた長寿が、「長生きリスク」として問題化しているのは皮肉な話だ。
 23年の内閣府の調査によると、「病気のときや、一人ではできない日常生活に必要な作業の手伝いなどについて頼れる人の有無」という質問に、60歳以上の単身高齢者の66・0%が、「別居の家族・親族」と回答。12・3%が「いない」と答えた。奈良市の民生委員の話でも、県外などに子どもはいるが、まったく帰ってこないというケースが増えているという。
 未婚・晩婚による出生率の低下、高齢者の一人暮らし増加に歯止めをかけるため、県は結婚を希望する独身の人たちを企業や店舗、地域の団体などで応援する「なら結婚応援団」を17年に結成。現在は約60団体が応援団に加入し、各地でさまざまな婚活・出会いイベントなどを実施している。さらに独身のわが子を心配する親向けのセミナーも行うという徹底ぶり。それだけ独身者の恋愛、結婚への積極性が失われているのだろう。
 県の婚活イベントを取材したが、参加の多かった30歳代は男女ともに焦りは見られなかった。もっとギラギラした雰囲気を想像していただけに少し拍子抜け。ただ40歳代の女性は「40歳を超えると婚活イベント参加の年齢制限が厳しい」など危機感を募らせ、47歳の男性も「近い将来、独身のままだと介護の面など不安。孤独死は絶対嫌」と語気を強めた。これは個人的な印象だが、男性の参加者は「草食男子」が多かったようにも感じる。
 結婚して子どもを授かり、深い愛情を持って育てる。そして自分が狎屬舛磴鶚瓩北瓩譴弌∋劼匹發僕燭┐唇情を返してもらう。幸せの形は無論、人それぞれだが、パートナーを持たず、親を大切にせずでは、孤独死は増加の一途をたどるだろう。やはり人生の最期は、愛情に包まれて幕を下ろしたい。

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