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奈良市新斎苑 悲願達成のその先

2018年03月30日

記者 梶田智規

 極寒の冬を越え、暖かい春の風が吹くなか、甲子園では奈良の智辯学園をはじめ球児たちが熱い戦いを繰り広げている。28日には、「公立の星」と呼ばれる京都の乙訓(おとくに)が春夏通じて初出場の甲子園で初勝利。創部55年目にして悲願を達成した。
 今年のセンバツは乙訓のほかにも、兄が横浜DeNAベイスターズでプレーするプロ注目のエース細川を擁する茨城の明秀学園日立が甲子園初出場初勝利。こちらは創部23年目と乙訓より歴史は浅いが、今後甲子園常連校となる可能性もあり、その記念すべき第一歩の1勝となるかもしれない。
 東大入学よりも難関ともいわれる甲子園への出場。特に公立校をはじめ練習設備や時間、選手の獲得などに限りのある学校にとっては、聖地までの道のりは長く険しい。そういった厳しい状況のなか、出場を決めた時点で大きな功績なのは言うまでもないが、やはり大切なのはその先。悲願をかなえたその後も気を抜かず、努力を重ねて1勝、また1勝と積み上げることで選手、チームが普段では考えられないような大きな成長を遂げる。そしてその魂は後輩たちへと受け継がれ、強豪校が誕生していく。
 球児たちが熱戦を繰り広げるなか、奈良市でも仲川元庸市長と議会が平成30年度奈良市一般会計予算案などをめぐり攻防戦を展開。20日の予算決算委員会では、仲川市長の原案が3年連続で否決され、無所属の中西吉日出議員が提出した修正案を賛成多数で可決。委員会閉会後に仲川市長は「奈良市ではよくあること」、なら国際映画祭の補助金が全額カットされたことについて、「文化を大切にしない市は滅んでいく。議会の意思は尊重するが共感はできない」などとコメントし、議員の怒りを買った。
 仲川市長は23日に再開した本会議で、これらのコメントについて謝罪。原案を取り下げ、議員の意見を反映した修正案を再提出し、議会最終日に可決されたが、仲川市長の調整力不足が露呈した結果となった。ただ一方で、同予算に含まれている新斎苑整備事業の用地取得費については、鑑定価格の3倍以上での用地購入や、11任發療效呂鮖塒化する必要性について疑問視する声もあったが、最終的には承認。同事業の優先交渉権者である村本建設グループとの工事請負契約の締結についても同意を得た。
 この結果に仲川市長は「60年来の悲願である新斎苑建設がようやく動き出す」と胸をなで下ろした。歴代市長が成し得なかった事業を形にした功績は大きいとも言えるが、やはり大切なのはその先。本紙でも報じている通り、地元住民らは仲川市長の強引な手法に怒りの声を上げており、予算の執行や売買契約締結などの差し止めを求める住民監査請求を提出するなど、「地元合意」には程遠い状況で、まだまだ課題は山積みだ。
 仲川市長には今後も気を抜かずに努力を重ね、球児たちのように熱い気持ちで地元住民らと向き合い、市民が納得のできる形で新斎苑建設を進めてもらいたい。

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