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宇陀市のこれから 若者が育つ環境づくりを

2018年04月06日

論説委員 黒田高弘

 「若者こそが危機に歯止めをかける鍵」としたうえで安倍晋三首相が平成26年に「地方創生」をテーマに掲げてからはやくも4年がたった。だが、地方で危機を救う若者が育ったかと言われれば、疑問符が付く。
 県東部地域の将来を創るという大きな志の下、榛原町、大宇陀町、菟田野町、室生村の3町1村が合併し宇陀市となって12年。平成28年には市制10周年式典を挙行し、新たなスタートを切った。
 宇陀市誕生当初から市政のかじ取りを担ってきた竹内幹郎氏が昨年12月、今期限りでの退任を表明。15日告示、22日投開票で実施される市長選は8年ぶりの新人同士の一騎打ちの様相を呈しており、新たなステージに入った宇陀市の将来を決める重要な選挙戦が間もなく幕を開ける。
 合併当初、宇陀市の経常収支比率は全国782市のうち781位、ワースト2という状況で、「第2の夕張市」になると危惧されていた。
 このような中、竹内市長は徹底した行財政改革を推進。市長公用車の売却、市長給与の30%減額、外部委託の見直しなどに着手。特に職員定数が類似団体に比べて多かったため定数の大幅見直しに着手し、22年度から7年間で125人の職員数を削減し、28年度決算ベースで人件費約10億円を削減させた。
 これら改革により合併当時107%だった経常収支比率は28年度決算ベースで97%にまで改善、「第2の夕張」への難は逃れたが、少子高齢化・人口減少への対応、産業振興、定住・雇用の促進などまだまだ課題は山積している。
 特に少子高齢化・人口減少への対応は喫緊の課題だ。日本創成会議の人口減少問題検討分科会(座長=増田寛也元総務相)が平成26年に発表した少子化や人口流出に歯止めがかからず、存続できなくなる恐れがある自治体、いわゆる「消滅可能性都市」に名を連ねている。
 合併当初約3万9000人だった人口は今年3月1日現在で約3万1000人。高齢化率も27%から38%まで急上昇。現状のまま減少が続けば2040年には1万9000人まで減ると言われ、高齢化率も43%にまで及ぶと予測されている。
 県内市町村でみても2040年には広陵町(約2万8000人)、斑鳩町(約2万2000人)、田原本町(同)よりも少ない市となりかねない。人口減少は宇陀市のみならず全国的な問題であり、移住・定住促進についてはそれぞれ各自治体が力を注ぐ。より魅力的な施策を打ち出さなければ若者が宇陀市に移住・定住しようとはなかなかならないだろう。
 竹内市長は昨年の12月議会での退任表明の際、こう発言した。「宇陀市もいよいよ新たな第2ステージに入った。今までの延長線上ではなく、新たな考え方、イノベーションが必要。夢と希望が湧く宇陀市になることを望んでいる」と。
 市長選の候補予定者は50〜60歳代と決して若いとは言えない。であるならば、せめて若い力が育つ環境づくり、若者が希望を抱くような施策を打ち出してほしい。

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