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生駒市政 求められる武士道精神

2018年04月27日

記者 梶田智規

 橿原市文化協会の戸田守亮会長による歴史から学ぶ講座「橿原学」。今月23日で273回目を数える同講座では、戸田会長が日本の歴史文化を振り返り、現在、そして未来にどう生かすべきかを説いていく。そこで戸田会長がしきりに訴えているのが、昔の日本人が持っていた良い部分が現代では失われつつあるということ。
 戸田会長によると近年、日本の「武士道精神」が欧米などで高く評価されており、その歴史を学ぶために日本に訪れる外国人が増加しているという。「切腹という言葉は野蛮に聞こえるが、命を賭してでも自分の行動に責任を持つのが武士道精神。政治家を筆頭に、最近の日本人にはこの精神がない」と力説する。
 女性記者にセクハラする財務省事務次官、その記者を犯罪者呼ばわりする元文科相、加計・森友問題などで自己保身に走り、真実を明かさない首相。確かに現在の政治家は、「武士道精神」といったものから大きくかけ離れた存在だ。戸田会長が「自己を犠牲にしても責任を果たすという、日本人が本来持っている尊い精神を復活させなければ日本は廃れる」と警鐘を鳴らすのにもうなずける。
 武士道精神が日本人の心から失われつつある中、元広島カープの衣笠祥雄氏がこの世を去った。連続試合出場日本記録、連続フルイニング出場歴代3位、通算安打数歴代5位などの記録を持つ言わずと知れた野球界の元祖鉄人。これらの輝かしい記録もさることながら、死球を受けても笑顔で一塁へ向かうその紳士的な振る舞いや、球史に残る強打者でありながら通算犠打数は88個と、自己を犠牲にしてチームプレーに徹する姿勢が人気を集めた。
 まさに侍や、おとこ気という言葉が似合う人物だが、特にそれを象徴しているのが昭和54年8月1日の対巨人戦。西本聖投手から死球を受け、左肩を骨折した衣笠氏は、痛みをこらえて翌日の試合に代打で出場し、フルスイングで3球3振。そして試合後「1球目はファンのために、2球目は自分のために、3球目は西本君のためにスイングした」とコメントを残した。
 連続試合出場記録がストップするかもしれない危機に、その原因となった相手投手を気遣い、野球界の発展のために痛みをこらえてフルスイングする衣笠氏。自己を犠牲にして責任を果たす、まさに武士道精神にあふれた名選手だった。
 来年には統一地方選、参院選が実施される。生駒市も4月に改選を迎えるが、市立病院の赤字や学研高山第2工区のまちづくりなど課題は山積み。市民を置き去りにして知事選にくら替え出馬した山下真前市長の後を継ぐ小紫雅史市長の1期目の市政には、市民らから厳しい評価も聞こえてくるが、「市医師会との連携強化」や、「市民主役のまちづくり」など、自ら掲げた公約を実現できていない現状では致し方ない。 
 「命を賭して」とまでは言わないが、自分を犠牲にしてでも責任を果たす―。そんな武士道精神を持った政治家を自分の目で選び、一票を投じるのがわれわれ有権者の責任だ。

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