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海外進出 信念と覚悟を持って

2018年05月04日

論説委員 黒田高弘

 海を渡った犲磴侍瓩粒萍が目覚ましい。大リーグ・エンゼルスで二刀流に挑戦する大谷翔平(23)が2日(日本時間3日)、4月のア・リーグ新人の月間MVPに選ばれた。打者として12試合に出場し、打率3割4分1厘、4本塁打、12打点と活躍。投手としても4試合で2勝1敗、26奪三振、防御率4・43の成績を残した。23歳の若者の海外でのあくなき戦いは見る者を熱くさせる。
 米国のジャーナリスト、ダグラス・マグレイ氏の記事が発祥とされる「クール・ジャパン」。漫画やアニメ、ゲームといった日本の現代サブカルチャーに使用されることが多いが、和食や日本の伝統文化を指す場合もある。総務省の関係機関「情報通信政策研究所」の発表によると、平成25年の日本の放送コンテンツ海外輸出額は約138億円にまで上り、22年の約62億5000万円から倍増している。今後も日本のアニメ・漫画が世界を席巻することは間違いない。和食や日本の伝統文化も追随することだろう。
 今や国策ともいえる「クール・ジャパン」だが、その背景には、国内人口の縮小や従来型産業のピークアウトによる内需の減少がある。アジアをはじめ新興国の成長は著しく、人々の生活水準が向上する一方、わが国の人口は23年から減少に転じ、今後も引き続き減少が見込まれており、おのずと外需獲得に力を入れるしかないのが現実だ。
 中小企業庁委託「中小企業の海外展開の実態把握にかかるアンケート調査結果」によると、現在輸出に取り組んでいる企業の7割近くが、今後も輸出を「拡大したい」と考えており、逆に「縮小・撤退したい」、「今後の計画なし」という企業はほとんどない。また、輸出を開始した時期も、中規模企業でも4割近く、小規模事業者の半数以上が22年以降に輸出を開始しており、近年になって輸出を始めた企業が多い。
 しかし、リスクが不透明であることなどによる金融機関、投資家からの資金供給、販売先の確保、足がかりにすべき海外拠点、情報やノウハウなどの不足などにより、具体的な海外展開が進まず、収益に結びついていない状況にあるのも事実。同アンケートでも、販売先の確保について、売上高が増加した企業の約6割が「取り組めている」としたのに対し、増加しなかった企業は、「取り組んでいるが、うまくいっていない」が7割近くある。「クール・ジャパン」の掛け声に猜愍茘瓩垢襪世韻任論功しないのは至極当然である。
 そんな中、今号で紹介した4つの企業は、信念と覚悟を持って早い段階から海外に目を向け、成果を上げてきた。梅乃宿酒造の吉田佳代社長は「(海外進出は)規制概念を破ってくれるきっかけになり、可能性を広げてくれる」、ティーファーム井ノ倉の井ノ倉光博社長は「『奈良のお茶を知ってもらいたい』という思いでやってきただけ」と熱い思いを語ってくれた。
 大谷はエンゼルスの入団会見で「二刀流はもう自分だけのものではない。1番になりたい」と胸を張った。信念と覚悟が今の彼らの成長につながっている。

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