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不登校問題 個性尊重する教育現場に

2018年06月22日

論説委員 黒田高弘

 歯に衣着せぬ発言でテレビに引っ張りだこのコラムニスト、マツコ・デラックスさんが自身がレギュラーを務める番組で「同世代が子どもっぽく見えて、周りに合わせるのに疲れた」と、不登校になった経験談を吐露。マツコさんに限らず芸能界で不登校やひきこもりを経験した人は少なくない。
 平成28年度の文部科学省の調査によると、小・中学校の不登校児童数は全国で年々増加し、その数は13万人を超え、「不登校に関する実態調査」(26年・同省)では53%が「友人との関係」がきっかけで不登校になったと回答。昨今、流行のワードとなっている爛灰潺絅縫院璽轡腑麌埖瓩、教育現場や家庭でも起こっている。
 今回、不登校になった娘を持つ2人の母親からその胸の内を聞くことができた。娘と向き合ったつらい日々を振り返るのは、さぞかし苦しかったことと思う。取材に協力いただいた2人には心から感謝したい。
 「HSC(Highly Sencitive Child)」という意識が高まりつつある。「人一倍敏感な子」が訳で、繊細であり感受性の豊かな子を指す。自分がいじめられているわけでもないのに、いじめられている子の気持ちを感じ過ぎてしまったり、先生や友人と会話するだけで疲れてしまったりしてしまう。2人の子どもたちは「HSC」とはいかないまでも、とてもピュアな心を持ち、人の痛みが分かる子どもだったのだろう。
 取材を通して浮かび上がってきたのは「居場所づくり」と「別の受け皿」の重要性。そして、学校に行かなければならないという強迫観念に捉われず、登校するか否かは自主性を尊重する。大人の思い込みを子どもに押し付けるのではなく、「子ども目線」で、物が言いやすい雰囲気をいかに作っていくか。
 言葉にすれば簡単だが、今の教育現場でそれができるかと言えば、おそらく難しいだろう。学校教育そのものを大改革しなければ、不登校児童・生徒の解消にはつながらない。
 今、注目を集める教育の1つに「イエナプラン教育」がある。子どもたちを「根幹グループ」と呼ばれる異年齢のグループにしてクラス編成し、学校での活動は、会話・遊び・学習・催しという4つの基本活動を循環的に行う。時間割は教科別ではなく、4つの活動を基にして作られる。
 画期的な部分として挙げられるのが、学級担任の教員は「グループ・リーダー」と呼ばれ、会話はサークルを作ってグループリーダーも児童・生徒と共に参加する。学校は、子どもと教員と保護者からなる共同体という意識の中で、教育が進んでいく。日本は後進国であるものの、来年には長野県に最初のイエナプランスクールが開校予定で、注目が集まる。
 マツコさん同様、不登校になった演出家の宮本亜門さんは「猊當稔瓩求められる環境がつらかった」としながらも、「自らをさらけ出して七転八倒した時間を通り過ぎて今がある」と語る。個性を尊重する教育が今、求められているのではないだろうか。

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