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地方紙の役割 地域の課題を担う

2018年09月07日

主筆 藤山純一

 関西を中心に大きな被害をもたらした台風21号の爪痕がいまだ残る中、6日未明、今度は北海道で震度7の大地震が起きた。この地震の被害状況はまだまだ未知数だが、これから判明すると思うと背筋が寒くなる。
 相次ぐ豪雨や台風、そして地震や津波、竜巻。これからは、「これでもか」と襲いかかる自然の脅威に私たちはただ立ち向かうだけでなく、この「自然の脅威」といかに共存していくかを真剣に考える時期に来ているのではないか。
 このような中、今年8月7日に奈良日日新聞が創刊120周年を迎えたことから、今月4日午後に奈良市内で記念祝賀会を予定していたところ、非常に強い台風21号が関西を直撃、やむなく中止とさせていただいた。自然のことわりとはいえ、出席を予定していただいた方々には本当に申し訳なく、慙愧(ざんき)に堪えない。
 祝賀会にご招待させていただいていた、社会貢献活動に励んでおられる女史に中止の旨を残念至極な思いでお伝えしたところ、「台風は120年の天からの贈り物と思いましょう! 晴天を望むのは人間側の勝手な望みでしょう!」とのメッセージをいただいた。
 まさに「人間側の勝手な望み」でこの大自然、大げさに言えば宇宙の中で生きることはできない。このような当たり前のことを私たちは忘れていたのではないか。自然に対峙(たいじ)するのではなく、自然に寄り添うという原点にもう一度帰らなければならないのではないか。
 奈良日日新聞は今から120年前の明治31年8月7日、日刊紙で8蓮月12銭の購読料でスタートした。初代社長の赤堀自助は創刊当時の社告で「政党政派に関係なく純然たる独立新聞成るがゆえに、一党一派の私情に駆られて筆を狂わせることなかりせば、記事すこぶる精確に、如何なる方向に向かっても毫も忌憚なく、毫も仮借するところなければ筆鋒また鋭利なり」と記した。
 この一歩も引かぬ創刊の熱い志で、その後、昭和16年の3紙併合や戦時中の言論統制を乗り切り、戦後には休刊という困難に直面しながらも県民読者の皆さんの支えで120年の紙齢を紡ぐことができた。
 新聞業界を取り巻く環境は厳しいといわれているが、現代社会のひずみがますます深まる中、新聞の役割は逆に増しているといえよう。その一つは活字文化を復活させ、失われつつある人間性の回復を図る使命である。さらに地方紙として地域活性化を促し、地方創造を果たさなければならない。
 これらの役割はネットと競合しない地方紙として担うべきものであり、グローバルな視点でローカルな課題を解決していく担い手であるべきだろう。
 未曽有の災害にどう対処するのか、特養の増大する入所待機者など高齢化社会問題にどう向き合うのか、さらには不登校の子どもたちや学級崩壊など膨れ上がる教育問題をどう解決していくのか。地方紙として地域の現場から共に声を上げていく重要な役割を果たしていきたい。これからも県民読者の皆さんと共に歩みながら。

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