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長谷寺まちづくり 歴史に新たなスパイスを

2018年09月14日

記者 梶田智規

 県内外の観光に携わる人たちは皆、「日本発祥の地であり、歴史の深い奈良の観光に対するポテンシャルは非常に高い」と口をそろえる。しかし近年、インバウンドなどで観光客は大幅に増加するも、宿泊客数や観光消費額は伸び悩んでおり、その高いポテンシャルを存分に発揮できているとはいえない。
 国内では人口減少が進み、「存在の消滅の不安」がキーワードに。だが現在、平城京再生プロジェクトを手掛ける会社「GPMO Lab」の天米一志代表取締役社長は「奈良は逆で、存在のよみがえり、覚醒がキーワード。偉人が残した歴史を守りつつ、新たな要素を加えていくことが必要になる」と訴える。歴史に現代技術を融合し、全国、世界へどう発信していくかが重要だという。
 天米氏は今後、平城京歴史公園で古代米を絡めた恋活イベントやツアーを検討。また近年、海外で話題となっている期間限定のレストラン「ポップアップレストラン」などを企画し、「日本を代表する奈良から、おもてなしを世界に発信していきたい」と意欲を見せる。観光客らの感性をくすぐり、能動的に奈良という地を発信していくのが狙いだ。
 他にも、高知県からスタートし、今では全国に広がりつつある幼児から大人までが30段の跳び箱に挑戦する大会「ジャンピングマックス」を朱雀門前で実施する計画も。もともとの奈良の魅力に流行や現代技術というスパイスを加え、奈良を訪れた人たちにインパクトが残るよう調理して提供する。同プロジェクトは奈良の観光、まちづくりの新たなモデルケースとなる可能性もあり、今後の動向に注目が集まる。
 今号で報じた通り、かつて札所巡りや参拝でにぎわいをみせた長谷寺門前町は、近年人口減少や高齢化が進み、空き家や空き地が増加。参拝客もピーク時の半分に減っている。そういった状況の中、地区住民有志らが立ち上がり、地域活性化に向けて汗を流している。
 24年には築130年の老舗食堂を改修し、町屋カフェ「わらしべ長者の里泊瀬長者亭」をオープン。長谷寺参道が舞台となっている昔話「わらしべ長者」が店名の由来で、観音様の縁日である毎月18日には、長谷寺へ続く街道に物語を描いたのれんを飾り付け。奈良の歴史や文化に関心を持つ外国人が増えるなかで効果的な取り組みだが、まだまだ発信が足りないようにも感じる。また今年7月には、築200年の古民家を地域住民や観光客らの憩いの場としてリノベーション。互いの交流を深めることでにぎわいが創出され、宿泊客数の増加や人口減少の防波堤となることに期待したい。
 徐々にではあるが、若い起業家が飲食店やゲストハウスなどをオープンさせるようになり、にぎわいを取り戻しつつあるという門前町。1本のわらから物々交換を繰り返し、最後には大金持ちとなった「わらしべ長者」の物語ではないが、奈良の観光資源である歴史に現代技術、流行などを融合して猜儔臭瓩魴り返し、近い将来、門前町が多くの人でにぎわう豊かな地域として復活することを願う。

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