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ふるさと納税 創設時の意義に立ち返れ

2018年10月12日

論説委員 黒田高弘

 「ふるさと」を調べると、漢字で書けば「古里」「故里」「故郷」となり、意味は生まれ育った土地、荒れ果てた古い土地とある。
 スタートから10年がたち、地域活性化に一役買う「ふるさと納税」がにわかに注目を集めている。野田聖子前総務相が先月9月、寄付金に対する自治体の返礼品の額の割合が3割超の場合や、返礼品が地場産品でない自治体への寄付は税優遇の対象から外すといった制度見直しの方針を正式に表明したためだ。 拡大が続くふるさと納税。開始当初は100億円に満たなかったが、27年度ごろから急激に増え、29年度は3653億円にまで拡大している。ただ、全体を押し上げているのは過度な返礼を続けている自治体によるものという実情があり、総務省は見直しを決めた。
 28年度には1165の自治体(全体の65%)で返礼割合が3割を超えており、総務省は29年、寄付金に対する返礼割合を3割以下に抑えるとともに地場産品以外は扱わないよう大臣通知。今年に入っても通知したが従わない自治体が多数。
 総務省が公表した先月1日時点の調査によると、246の自治体(同14%)で返礼割合が3割を超え、190の自治体で地場産品ではない返礼品を送っていた。
 今号で報じた通り県内では、三郷町、曽爾村、明日香村が3割を超える返礼品を出しているとして総務省から指摘を受け、各自治体が見直しに向け調整している。地場産品以外の返礼品も奈良市、田原本町、曽爾村で明らかとなったが、田原本町、曽爾村はすでに取りやめ、奈良市も取りやめに向け進めているというが、猝楸名ι吻瓩魍阿垢海箸如寄付額が減ることは明白で、新しい猊雋鎰瓩鼎りが今後は求められる。
 総務省は、ふるさと納税に3つの意義があると指摘する。1つに納税者が寄付先を選択する制度であるからこそ、その使われ方を考えるきっかけになるなど、税に対する意識が高まる。2つ目に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域、これから応援したい地域への力になれる制度であり、人を育て、自然を守り、地方の環境を育む支援ができること。最後に、各地自体がそれぞれの取り組みをアピールし、ふるさと納税を呼び掛けることで自治体間の競争が進むとし、これらにより「地方創生」が進むとしている。
 地方創生―。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした取り組みだが、あまり成果が出ているとは言いがたい。
 地方創生の一助となるはずのふるさと納税も、大都市圏の自治体では住民税などの軽減で財源流出にもつながるなどとして、与党内では制度廃止を求める声もちらほら。自分たちで手掛けた政策を、大都市圏の財源流出を理由に廃止の方向で検討するのは、犲裟瓩鮗ら認めることになるのではないか。
 ふるさと納税創設時の意義に国も各自治体も立ち返る必要がある。生まれ育った土地、荒れ果てた古い土地を決して見捨ててはならない。

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