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百歳時代の到来 廃校施設の活用を

2018年10月19日

主筆 藤山純一

 人生百歳時代がやってくる、と言われている。政府の人口推計によると、2015年に50歳だった人の10人に1人は百歳まで生きる、2007年生まれの半数が107歳まで生きる、という予測すらある。さらに2050年には百歳以上の人口が50万人を超える、ともいわれている。
 県の調べによると、今年度中に百歳になる人は342人で、年度末には百歳以上の長寿者数は1000人を超え、1029人に達する。男性108人、女性921人で最高齢者は9月15日現在、112歳の女性だ。20年前は百歳以上の人が118人だったのが9倍近く増えたことになり、人生百歳時代の訪れを予感させられる。
 出所不明だが、超高齢者社会を目の前にして、若者との比較を面白おかしく表現した文書が出回っている。「18才と81才の違い」というタイトルで、それによると、「道路を暴走するのが18才、逆走するのが81才」というのだ。また、「心がもろいのが18才、骨がもろいのが81才」、「恋に溺れるのが18才、風呂で溺れるのが81才」。
 言い得て妙で、現実を直視してのなかなかのごろ合わせ。さらには「東京オリンピックに出たいと思うのが18才、東京オリンピックまで生きたいと思うのが81才」。まさに年を取るとそのような思いはよく分かる。認知症に絡めてこんなものもある。「自分探しの旅をしているのが18才、出掛けたままわからなくなって、皆が探しているのが81才」とこちらも軽妙だ。
 ただ問題は超高齢化社会を目前にして、最近、「高齢者が増え過ぎて若い人に金を回せない」などと言われ、「高齢者=社会悪」のような風潮がまん延し、高齢者パッシングが目立つのはいかがなものか。
 高齢者専門の精神科医、和田秀樹さんの「『高齢者差別』この愚かな社会〜虐げられる『高齢者』にならないために〜」(詩想社新書)によると、国の財政の不備が高齢者のせいにされていることに対して、現在の財政赤字や膨大な借金は、それほど高齢者が多くない時代での公共事業などによるもの。膨大な年金はすでに社会保険料として給与などから引かれた金額。
 そして若者はインターネットなどのメディアで声を上げることができるが、高齢者は成す術がない。そのため、保育園の不足で働けない女性の話題は絶えず報じられるが、特別養護老人ホームに入居できないために、仕事を辞めざるを得ない女性のことが話題になることはない、という。
 保育園の待機児童は4〜5万人と推定されているが、高齢者の特養の入所待ちは50万人以上いるといわれているのにだ。交通事故率も若者より低いのに高齢者の自動車運転が危険視され、免許を取り上げようとしていることに懸念を記している。
 一方、少子化で県内でも廃校施設が放置されている。子どもたちのために建てられた校舎を社会の変遷で今度は地域に住む高齢者のために活用してはどうか。それこそ入居施設としてリニューアルしたり、交流施設として開放するのはどうだろうか。名案を期待したい。

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