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路上喫煙対策 喫煙スペース確保がカギ

2018年11月02日

記者 加藤浩司

 いつのころからだろうか。レストランなど飲食店に入ると店員から「何名様ですか」のほかに、必ずといっていいほど聞かれるようになったことがある。
 「たばこはお吸いになりますか」
 多くの飲食店で腰壁やエアーカーテンなどで喫煙エリアと非喫煙エリアを分ける「エリア分煙」が導入されている。たばこを吸う人と吸わない人とでは、案内される座席スペースが異なる。
 背景には「受動喫煙」による健康被害への意識の高まりがある。その危険性はあなどれない。厚生労働省の推計によると、受動喫煙による肺がんや脳卒中などで亡くなる人の数は、国内で年間約1万5000人にも上るという。
 「望まない受動喫煙」をなくそうと、規制を強化する改正健康増進法が今年7月、成立した。これにより、今ではすっかりおなじみとなった先ほどのフレーズも、今後は耳にすることがなくなるかもしれない。
 改正法は飲食店や職場などは原則禁煙とし、違反者には罰則を適用する内容。学校や病院、行政機関などは敷地内全面禁煙となる。東京五輪・パラリンピック開催前の2020年4月に全面施行する。
 多くの人が利用する施設・敷地内での喫煙に対する規制が厳しくなる一方で、懸念されるのが「路上喫煙の増加」だ。
 こんな実例を目撃したことがある。県外のある大学病院でのこと。その病院はすでに敷地内全面禁煙を実施している。その結果、病院周辺の路上はいつも、たばこを吸う入院・通院患者たちであふれかえっていた。路上には吸い殻もたくさん落ちていた。
 路上喫煙には受動喫煙のほかにも、周りの人の身体や衣服にたばこの火が当たってやけどを負わせるなどの危険がある。熱したフライパンが500度であるのに対し、たばこの火は900度以上といわれる。改めて、その危険性を認識したい。
 そこで県内でも一部の自治体で路上喫煙を防ぐための対策が進められてきた。
 奈良市は平成21年3月に「奈良市路上喫煙防止に関する条例」を施行し、同年5月に近鉄・JR奈良駅前や三条通り周辺を「路上喫煙禁止地域」に指定した。
 王寺町は今年1月に「王寺町路上喫煙の防止に関する条例」(26年7月施行)を改正し、「王寺町歩きたばこ及び路上喫煙防止に関する条例」を施行。JR王寺駅周辺に加え、JR畠田駅周辺も「路上喫煙禁止地区」に指定した。
 生駒市は29年10月に「生駒市歩きたばこ及び路上喫煙の防止に関する条例」を施行し、今年6月に生駒駅周辺を「歩きたばこ等禁止区域」に指定した。
 とはいえ、路上喫煙に対する規制を設けている県内の自治体はまだ少数にとどまる。先ほどの大学病院の例は、施設・敷地内禁煙と路上喫煙は「表裏一体」の関係にあるということに加え、喫煙スペースをしっかりと確保することの重要性を示唆している。そうした視点の下、ほかの自治体でも路上喫煙対策が進むことを期待したい。

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