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優良な奈良県産材 巡る健康ツーリズムを

2018年11月16日

主筆 藤山純一

 奈良のスギ、ヒノキは他県産材より健康に良い効果がある―。県奈良の木ブランド課は、今年3月に発行した「奈良の木で健康・快適 検証事業報告」で県産材の高い健康効果を明らかにし、9月には「奈良の木で健康・快適に暮らす! ハンドブック」を発行し、PRに努めている。
 森林面積が県土の77%を占め、全国的にも森林資源が豊富で、県南部の「吉野林業地域」は全国有数の優良材生産地といわれているが、それを実証しようと同課が平成28、29年度に検証事業に取り組んだ(本紙の今年元旦号で一部掲載)。
 まず川上村産のスギ、ヒノキのそれぞれ100年生と70年生を準備。この県産材と丸太の大きさがほぼ同じとなる他県産のスギ、ヒノキのそれぞれ30〜40年生を試験材料とした。カビと大腸菌を植え付けた結果、他県産材に比べ、奈良県産材はカビの生育を完全に阻止、大腸菌の増殖抑制に大きな効果が出たという。
 さらに床材をカーペットから奈良のスギ材、ヒノキ材に替えることでダニの忌避効果がみられたほか、インフルエンザウイルスA型とスギ、ヒノキの木粉を接触させたところ感染力の低下が見られたという。
 また、紫外線の軽減や室内の湿度の調整の効果も。密閉性の袋にスギ・ヒノキ板と臭気ガス(アンモニア)を入れ、袋の中のガス濃度を一定時間ごとに測ったところ、30分で9割以上のアンモニアの臭気を除去したという。材料温度も人の肌には適温で、健康で快適に暮らすにはまさに県産材こそ最適という結果が出ている。
 奈良の木の家に住む67人を対象にしたアンケート調査も実施。100%が「木の部屋は落ち着く」と答え、「温かみがある」(97%)、「木のにおいが心地よい」(99%)、「木の床は冬も温かい」(67%)、「裸足で歩きたくなる」(91%)などと好評。「梅雨の時期もじめじめしない」(81%)、「木材にカビがはえたことがない」(90%)、「汗や食べ物のにおいがこもらない」(60%)など、多くの人から「快適だ」との高い評価を受けたという。
 こうしたまれに見る良質材の宝庫、県南部の吉野地域にはこのような優良材が生育する素晴らしい自然環境があるのは言うまでもない。
 さらに吉野の歴史には神話や伝説に彩られ、万葉集にも数多く歌が残されている。また庶民から権力者まで足を運ぶ修験道の聖地でもあり、歴史の痕跡と雄大な自然が共存し、人々のいとなみが続く森の国、吉野は日本人のこころのよりどころでもある。
 この吉野郡の11町村が連携し自然豊かな神々が坐す神域である吉野に多くの観光客をぜひ呼び込みたいし、訪れてほしいと思う。そのためにはこの11町村が、「町村の壁」を乗り越えて一体となってグリーンツーリズムに取り組み全国、世界に発信してはどうか。
 これが実現すればきっと県北部に偏っている観光客を県南部に引き寄せ、宿泊者数も増えるに違いない。「もう過疎地域と呼ばせない」との気概で。

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