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異常事態の河合町議会 パワハラの責任を問う

2018年12月21日

主筆 藤山純一

 虐待、いじめ、貧困、離婚、発達障害、難病など、今ほど子どもたちを取り巻く環境が厳しい時代はない。行政、民間が児童福祉施設の充実を図っているが、自殺する若者が絶えない。
 ノンフィクション作家の石井光太氏が書いた「漂流児童〜福祉施設の最前線をゆく〜」(潮出版社)によると、児童相談所に寄せられる虐待相談件数は、年間約13万件、1人親家庭の2組に1組、子どもの6人に1人が貧困、小中学校で長期欠席している児童・生徒は約20万人、通常学級の児童・生徒の15人に1人が発達障害という。
 戦後70年、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化してきた。1960年代までは「戦災孤児の時代」、70〜80年代は「校内暴力の時代」、90年代は「いじめの時代」、そして2000年代は「虐待の時代」という。
 80年代までは子どもたちのやり場のない感情とか、負のエネルギーが社会に向かっていた。それが校内暴力だったり暴走族だったりした。しかし、マスコミに取り上げられて社会問題化し、教育現場では警察の力を借りて押さえつけたため、「見える形」から「見えない形」となり、「いじめの時代」に。
 そして子どもたちの攻撃性が内側、つまり自分に向くようになったと石井氏はみる。負のエネルギーの矛先が他者だった校内暴力時代から虐待時代には自分自身に向けられるようになり、自傷行為やひきこもり、拒食症となって表れる。
 こうした厳しい環境から子どもたちを守るにはやはり家庭、学校、地域が子どもたちを理解し、支えるか。社会全体としていかに子どもが生きやすい環境を作ってあげるかだと、警鐘を鳴らす。
 また「幼少期に家庭で愛情を注がれることで、感情的欲求が満たされ、安心感が高まっていく。この『安心感』が『自分は守られている』という気持ちになり、ひいては自尊心であったり、他人への信頼感を形成する。そして、子どもはアイデンティティーを形成して感情が豊かになり、社会に適応できるようになる」と石井氏はいう。
 ところがこの80年代の校内暴力ではないが、河合町議会でまたまた疋田俊文議長の職員らに対するパワーハラスメントが再燃している。議会事務局長も不在という異常事態も続いており、正常化を求める声がますます高まっている。
 厚生労働省によると、全国の労働局に昨年度に寄せられた労働相談で、パワハラなどの「いじめ・嫌がらせ」は約7万2000件に及ぶ。しかし、これも氷山の一角で上司からパワハラをされても被害が悪化するのを恐れて相談すらできないケースが多くあるのではないか。
 まして町議会職員がその任命権者である議会議長にパワハラを受けたとしても泣き寝入りする以外にないだろう。それを承知で執拗(しつよう)にパワハラを繰り返す河合町の疋田議長の行為は人として公人としても決して許されるべきでない。いままでパワハラした町職員、同僚議員に謝罪し、責任を明らかにすべきだ。「子ども受難時代」に大人として公人としての責任は極めて重い。

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