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増える外国人労働者 求められる共生の努力

2019年03月22日

記者 加藤浩司

 外国人労働者の受け入れを拡大する「改正出入国管理法」が先の臨時国会(昨年12月10日閉会)で成立した。来月から施行される。
 農業や建設、介護など14業種が対象で、これまで認めてこなかった単純労働分野への受け入れに道を開くことになった。
 2つの新たな在留資格「特定技能」を設けるのが柱。一定技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と、熟練技能が必要な業務に就く「同2号」だ。
 「1号」は在留期間が通算5年で、家族の帯同は認めない。「2号」は在留更新で事実上の永住が可能で、家族帯同も認める。
 政府は今年度からの5年間で、「1号」での受け入れ人数を最大34万人5000人と想定。初年度は最大4万7000人を見込んでいる。
 政府が外国人労働者の受け入れ拡大を急ぐ背景には、少子高齢化に伴う深刻な人手不足がある。
 厚生労働省「労働経済動向調査」(30年11月)によると、労働者の過不足状況を示す「労働者過不足判断D.I.」は、調査産業計(正社員等労働者)で43ポイントと、23年8月調査から30期連続で不足超過となっている。産業別(同)に見ても、全ての産業で不足超過となっている。
 県内でも人手不足が問題化している。
 帝国データバンク奈良支店が昨年7月に公表した「人手不足に対する奈良県企業の動向調査」(30年4月)によると、企業の29・1%が正社員不足と回答。非正社員については、企業の37・0%が不足を感じており、全国(32・1%)を上回る結果となっている。
 こうした人手不足を背景に、県内の外国人労働者数は増加傾向にある。
 奈良労働局が1月に公表した「『外国人雇用状況』の届出状況」(30年10月末現在)によると、県内の外国人労働者数は前年同月比585人(16・5%)増の4116人。6年連続の増加で、統計が残る20年以降で過去最多となった。
 同労働局の担当者は「これまで在留期間が来たら自分たちの国に帰っていた留学生や技能実習生たちが、新たな在留資格で日本に残る可能性は大きい」と話し、改正法の施行により県内の外国人労働者の数がさらに増えていくと予想する。
 改正法の成立に野党各党が最後まで反対したのは、共生に向けた受け入れの態勢づくりが不十分なまま先送りにされたからだった。
 政府は新在留資格で5年間に受け入れる外国人労働者のうち、45%は日本で計3年の実習を積んだ技能実習生からの移行と試算する。
 ただ、この技能実習生を巡っては、低賃金に加え、長時間労働や暴力など深刻な人権侵害状況が明らかになっている。昨年の上半期だけで約4300人もの実習生が失踪している。
 こうした問題が起きるのは、「外国人労働者は使い捨て」という意識が受け入れる側にあるからではないか。
 今後、県内で外国人労働者が増えていくことは確実だ。受け入れる以上、企業をはじめ、生活者としてのわれわれ県民一人一人にも共生への努力が求められている。

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